AWS認定試験全12種取得したので振り返り

タイトルの通り2023年9月にAWS認定試験全12種全て合格することができました。振り返りをかねて勉強したことや感想をまとめていきます。

認定試験の受験に至った経緯

始めての試験、Cloud Practitionerを受けた頃、アプリケーションをECS・Fargateで構成しているプロジェクトにバックエンドエンジニアとして参画しており、ビジネスロジック部分のアプリケーションのコードをひたすら書いていました。

そんな中、下記のようにAWSと関連する部分ももちろんあったのですが、構築・運用はインフラ担当のエンジニアに任せっきりで、自分はほとんどインフラ部分の詳細を知らない状態でした。

  • S3にファイルをアップロードする処理、
  • SystemManager Parameter Storeを使って認証情報を参照する
  • CodePipeline(CodeCommit→CodeBuild→CodeDeploy)を使ったアプリケーションのCI/CD
  • AuroraでDB構築されている

ただ、CodeBuildのメモリ不足・Auroraの不具合など、アプリケーション開発に影響する問題が発生した際、自分が全く役に立てず、「問題が起きたので調査してもらえますか?」とのお願いを続けていることに歯がゆさを感じていました。
「サービスに関わる部分は全部自分が見れるようになりたい」との思いからAWSについて幅広く学んでいきたい気持ちが高まり、その取り掛かりとしてAWS認定試験に目をつけました。

各試験のまとめ・感想

AWS Certified Cloud Practitioner

難易度はFoundationalで1番易しいとされているものの、個人的にはある意味1番苦労した試験かもしれません。おそらく多くの方がAWS認定で最初に受験する試験になるのではないでしょうか。
私自身、実は受験しようと思い立って合格するまで時間がかかりました。(始めてAWS認定を受験する怖さ・仕事・他の誘惑によって間延びしてしまいました。)
どうしても初受験の怖さで躊躇してしまいますが、後述する「まず受験を申し込む」姿勢を大事に、勇気を出してAWS認定への第1歩を踏み入れてみてください..!

  • クラウドの利点
  • AWS責任共有モデル
  • 料金関連
  • AWSの代表的なサービス(VPC・EC2・S3)

等、まず知っておきたい知識が網羅的に身に着けられる良い機会になります。

AWS Certified Solutions Architect – Associate

Cloud Practitionerの次に受ける試験として最適な試験でした。単純なサービスの暗記ではなく、ある条件下でのベストプラクティスはどうすべきかという観点が登場してきます。問題を通して考える機会は実務に大変活きてくると感じました。

  • 障害を意識した設計
  • 可用性を意識した設計
  • セキュリティを意識した設計
  • コスト最適を考えられている設計

上記のような視点を身につけることができる試験となっています。

AWS Certified Developer – Associate

LambdaやDynamoDBを中心とした、アプリケーション開発でよく使用されるサービスが出題範囲です。
出題範囲のサービスを業務でよく使用するので学習はスムーズに進みました。

AWS Certified SysOps Administrator – Associate

12種のAWS認定試験で唯一不合格を経験した試験です。(しかも2度不合格に)
ラボ試験というマネジメントコンソールを使って実際に画面を操作しシステム構築する試験が設けられており、苦戦しました(2023年9月現在はラボ試験は無期限中止されており出題されません。)
2度の不合格で心が折れそうになりましたが、持ち直して3度目で合格したのが最終的に全種取得できたキーポイントだったと今思います。

AWS Certified Solutions Architect – Professional

「出題範囲の広さ・深さ」「問題文・選択肢の文字数量」「問題数75問(他Specialty試験では65問)」と、大変難易度の高い試験です。1問題にかけられる時間も短い中、長い問題文を読み解いて行く必要があります。
深い知識に加え、問題の読解力、体力も必要になってくる総合格闘技のような試験です。
ただ、この試験を一度経験することで、他の試験が少し楽に感じるという側面もあったように思います。

AWS Certified DevOps Engineer – Professional

Developer AssociateやSysOps Administratorの出題範囲を更に深掘りし、特にCI/CD周りのCodeシリーズやデプロイ戦略について重点的に出題されます。DevOps領域は個人的に特に好きだったので、比較的詰まらず学習を進めて合格することができました。専用の参考書等が不足している感は否めません(2023年9月現在)が、Developer AssociateやSysOps Administratorの参考書やBlackBelt等を活用することで十分補うことができると思います。

AWS Certified Security – Specialty

セキュリティ(KMS・GuardDuty・WAF...)やアカウント(IAM・Organizations)の分野について深く問われる試験です。他のSpecialty試験やProfessional試験でもセキュリティの分野が出題されてくるので、Assosiateレベルの試験を取得した後にまず受験する試験としておすすめします。

AWS Certified Database – Specialty

AWSが提供しているDataBaseサービス・DataBase移行等・耐障害性、可用性を備えた設計について深く問われます。
システムにおいてDataBaseは特に重要な部分の一つでもありますし、RDS・Aurora・DynamoDBなどの理解が深まり、適切なサービス選択や設計ができることに繋がってくる良い試験だと思います。 こちらの試験で得た知識がData Analytics・Machine Learning等の試験でも活きてきます。

AWS Certified Data Analytics – Specialty

Athena・Glueなどデータ分析のサービスを使った経験があるので、比較的学習はスムーズに進みました。ファイル形式やデータ分析サービスの組み合わせ・使い分けなど、場面に応じたベストプラクティスを考えることが特に色濃く出ている試験だった印象があります。個人的には学習・受験していて1番楽しかったです。

AWS Certified Machine Learning – Specialty

ChatGPT等最近欠かせなくなってきたAI関連にもつながる部分で関心は大きかったものの、「機械学習とは」部分からのスタートで不安でした。
そのため、まずはG検定の書籍等を活用して機械学習の単語レベルから学習していきました。
今後大きくキャリアチェンジしない限りがっつり機械学習を触ることはなさそうですが、機械学習に流す前のデータ分析・データ処理部分に関わることは大いにありそうで、その知見を得られたのが良かったポイントでした。

AWS Certified Advanced Networking – Specialty

Specialty試験の中で最難関だと感じました。私のようなWebアプリケーションエンジニアにとって、Direct Connectのようなサービスを使用する機会はめったに無いかと思います。(私はありませんでした)多くの学習時間をDirect Connect・Transit Gateway等の理解に使いました。
また、Solution Architect Professional試験と同様、問題文と選択肢の文字数が多く、問題を読み解くだけでも大変な労力がかかります。試験中のモチベーション・集中力管理が大事になってきます。

AWS Certified SAP on AWS – Specialty

Webアプリケーションエンジニアにはあまり馴染みがないSAPという領域の試験で、勉強を始めた際、結構苦戦しそうなイメージが大きかったです。
ただ、前職の経費の立替申請などでSAPを使っていたことを思い出し、そこから少しずつ興味と全体の理解が深まっていったような気がします。
SAPの専門的な部分だけでなく、EC2・EBS・システム移行の考え方やツールなどの知識も得られたのが受けてよかったポイントでした。

受験の個人的コツ

まず受験を申し込む

申し込んでいなければ合格率は0%です。しかし、申し込んだ時点で合格率は、合格か不合格かの50%に一気に跳ね上がります。あとは自分の努力次第で合格率を100%まで近づけることができます。受けたい、と思ったらまず申し込むことをオススメします。(その後2回まで受験日を変更できます)

短期集中型で勉強する(モチベーション)

仕事をしつつ、傍らで長期間試験勉強を続けるのはなかなか根気がいります。 また、勉強期間が長期になりすぎると中だるみしたり、別のやりたいことに目が奪われてしまうこともあります。(経験談
難易度や自分の理解度とも相談しつつですが、個人的には2週間の期間がちょうど良かったと感じます。受けようと思った時点から2週間後に試験日を決め、集中的に勉強することをお勧めします。

遠方受験で楽しむ(旅行ついでに資格受けてみる)

居住地の東京都だけではなく、様々な街のテストセンターで受験しました。
観光の時間は多少削られてしまいますが、旅行とセットにすることで楽しみと受験の緊張・マンネリ化をうまく中和できたと思います。(楽しくて受験しているにせよ、数をこなすと少し辛くなる時もある)
もし試験がうまく行かなかったら、目一杯観光して発散しましょう...!
また、飛行機・新幹線等での移動中は意外と勉強に集中できました。

受験地 試験
東京都(新宿・秋葉原 CLF,SAA,DVA,DOP,SCS,DBS
佐賀県佐賀市 SOA,PAS
福岡県福岡市 SAP
群馬県高崎市 DAS
宮城県仙台市 MLS
神奈川県横浜市 ANS

AWS公式の学習リソースを使用する

AWS SkillBuilder

各サービスの解説コンテンツや、認定試験対策に特化した講座・認定試験の模擬試験など充実しているため、必ず利用したほうが良いです。(ほとんどのコンテンツが無料です。) aws.amazon.com

AWS BlackBelt

Youtubeに各サービスの解説動画が公開されており、視覚的にわかりやすい解説を視聴できます。通勤中などスキマ時間にぴったりなコンテンツです。 AWS Black Belt Online Seminar - YouTube

AWS 公式ドキュメント

正しい情報を正確に得るにはやはり公式ドキュメントを見るのが1番かと思います。 また、サービスごとに、よくある質問というサイトが設けられており、認定試験に関連性の高い項目も多く記載されている印象です。

docs.aws.amazon.com aws.amazon.com

まとめ

12種すべて合格することができましたが、実力・知識がついたというよりむしろ、知れば知るほど「まだまだ知らないことがたくさんあるなあ」、という感覚を得ました。まだまだ勉強不足な部分・経験不足な部分が多いです。
とはいえ、12種もの試験を受験した、受験のために学習した事実をまず自分自身肯定したいと思います。
これからもAWSサービスはどんどん増え、進化していくと思います。そのキャッチアップを続けるためのアンテナを、受験を通してしっかり整備できたと思います。慢心せず、今後も地道に努力を続けていきたいです。