「変化を抱擁せよ 人が増えても速くならない」を読んだ

タイトルに惹かれて、「変化を抱擁せよ 人が増えても速くならない」を読みました。ソフトウェア開発において、プロジェクトが佳境の際に追加人員を投入して炎上の解消を図る形がとられていることをよく聞きますし、自身が現在勤務している会社でもそういう動きをすることがあります。そのアンチテーゼ的なタイトルだったため、気になって手に取りました。

目次

本書は全133ページで比較的薄型の本になっています。文章量も多くないので、一気に読むことができました。 集中して読めば1時間ほどで読み終えられると思います。

  • 1章. 完成しても、終わりではない
  • 2章. 人を増やしても速く作れるわけでは無い
  • 3章. たくさん作っても生産性が高いとは言えない
  • 4章. 人に依存せず同じ品質で作ることはできない
  • 5章. プレッシャーをかけても生産性は上がらない
  • 6章. 見積もりを求めるほどに絶望感は増す
  • 7章. 一度に大きく作れば得に見えて損をする
  • 8章. 工程を分業しても、効率化につながらない

ポイント

得に参考になった、良かったポイントを4つ紹介します。

速く作ることはできないが、速く作れるチームは作れる

  • 難易度の高いソフトウェアを作ることができるのは、エンジニア同士の哲学や文化が揃っているチーム
  • ソフトウェアを開発できるチームを育てていくことで、スピード感を持って変化に適応していけるソフトウェアが手に入る

問題を解決できるのは突出した個ではなく、結束しているチームだと認識できました。

小さく作って、大きく育てられるのがソフトウェア

小さく作って、リリースし、お客様の反応を見て改善する・拡大していくというアジャイル的な取り組みがソフトウェアでは可能だということを再認識できました。
小さく作ることの開発視点での利点として、リリース差分が小さい・テスト範囲が明確など様々あります。

見積もりを守るためのバッファの功罪

1度見積もりを失敗してしまった人は、「見積もりの甘さ」を反省する。
そして次の見積もりを行う際に、失敗したくないため多めにバッファ期間を積んでしまう。
すると見積もりを守るための理由で期間を設定してしまうことについて言及されていました。
自分の周りで見たこともあり、自分自身も過去にやったことがある気がして、ゾッとしました。

不確実な未来を、少しずつ確実なものにしていく

「エンジニアリング組織論への招待」という本でも、不確実性に対する言及が多くされていて、その点で両書とも共通した考え方になっていたのが印象的でした。不確実性に対して向き合い続けること、がエンジニアとして永遠に求められることであると再認識できました。

まとめ

筆者がタイトルにも掲げている、「変化を抱擁すること」について、改めてソフトウェア開発における大事にしたいポイントだということを再認識できました。薄い本でスラスラ読めるので、側において定期的に読み返していきたいと思える本でした。